「この木なんの木」の正体とは?ハワイの気になる木と日立CMの現在
「この木なんの木 気になる木」というフレーズを耳にすれば、誰もが青空の下に広がる巨大な一本の樹木を思い浮かべるはずです。1973年の放送開始以来、半世紀以上にわたって親しまれている日立グループの企業CM「日立の樹」。テレビ画面越しに見つめてきたあの雄大な姿は、単なるCGや合成ではなく、南国ハワイに実在する本物の巨木です。
しかし、あの木が一体どんな植物で、なぜあれほどまでに美しい傘型の樹形を保っているのか、そして現在どのような姿で現地に佇んでいるのかをご存じでしょうか。ハワイ・オアフ島の名所として愛される現地の最新事情から、名曲誕生の裏側、歴代CMの知られざる歴史までを徹底取材しました。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「気になる木」の正体はハワイ・オアフ島「モアナルア・ガーデン」に実在する樹齢約140年のモンキーポッド。
- 要点2:CMソングは伊藤アキラ作詞・小林亜星作曲の黄金タッグによるもので、歌詞には日立グループの理念と未知への挑戦が込められている。
- 要点3:モアナルア・ガーデンは現在も観光可能であり、入場料システムや現地保全の取り組みとともにその美しい景観が維持されている。
【正体と場所】「この木何の木」は実在する?ハワイ・オアフ島に立つモンキーポッドの真実
日立のCMでおなじみの巨木は、太平洋の楽園ハワイのオアフ島ホノルル市にある歴史ある私有公園「モアナルア・ガーデン(Moanalua Gardens)」に実在しています。ワイキキの中心部から車で西へ約20分、ホノルル国際空港(ダニエル・K・イノウエ国際空港)の北東に位置する緑豊かな公園です。
この木の植物学的な種類はマメ科の水木「モンキーポッド(学名:Samanea saman)」。中南米原産の熱帯植物で、横へ大きく張り出す傘のような樹冠が最大の特徴です。日立の樹として親しまれている個体は、推定樹齢およそ130〜140年、高さ約25メートル、枝の広がり(幅)は約40メートル、幹の周囲は7メートルを超える圧倒的なスケールを誇ります。
かつてカメハメハ王家ゆかりの地であったモアナルア渓谷の肥沃な大地に根を下ろし、ハワイの豊かな陽光と貿易風を受けながら、1世紀以上の歳月をかけてあの完璧な半球形のシルエットを作り上げました。
【名曲の誕生秘話】小林亜星×伊藤アキラが生んだ日立CMソングと歌詞に込められた意味
「見たこともない木ですから 見たこともない花が咲くでしょう」という印象的なフレーズで始まる日立のCM曲「日立の樹(この木なんの木)」。作詞を手掛けたのは数々のヒット曲を生み出した伊藤アキラ氏、作曲は昭和歌謡界・劇伴界の巨匠である小林亜星氏という稀代の名コンビです。
この楽曲が制作された1973年当時、日立グループは家電製品だけでなく、重電、情報通信、産業機械など多岐にわたる事業を展開する巨大企業へと飛躍を遂げていました。歌詞に込められた本質的な意味は、「大樹が大地に根を張り、数え切れない枝を広げて豊かな実を結ぶように、グループ各社が独自の強みを発揮して未来を拓く」という企業姿勢そのものです。
「名前も知らない木」という問いかけは、視聴者の好奇心を刺激すると同時に、まだ見ぬ技術革新や新たな事業の可能性を象徴しています。キャッチーで口ずさみやすいメロディと哲学的な深みを持つ詩が見事に融合し、日本の広告史に残るアンセムとなりました。
【歴代CMの変遷】実はハワイだけじゃない?「日立の樹」に選ばれた世界の巨木たち
半世紀を超える「日立の樹」の歴史を振り返ると、実はモアナルア・ガーデンのモンキーポッドだけがCMに登場していたわけではありません。歴代CMの中には世界各地の異なる巨木が主役を務めた時代が存在します。
1973年の初代CMは、実写の樹木ではなくイラストアニメーションによる表現でした。その後、実写の映像を採用するにあたり、第2代(1975年)で初めてハワイ・オアフ島のモンキーポッドが起用されます。しかし、以降のシリーズでは以下のように世界中の銘木が舞台となりました。
・第3代(1979年〜):シンガポールのイーストコースト・パークにあるマンゴー系の樹木
・第4代(1980年〜):アメリカ・カリフォルニア州のオーク(樫の木)
・第5代(1984年〜):再びシンガポールの巨木
・第6代(1989年〜):ハワイ・オアフ島(モアナルア・ガーデン)に復帰
世界各地の木を巡った結果、やはり「あの青空と大地に広がるシンメトリーな傘型」が最も視聴者の心に焼き付いていたことから、1989年以降は現在のモアナルア・ガーデンのモンキーポッドが一貫して「日立の樹」の象徴として選ばれ続けています。
【現在の状況と観光情報】モアナルア・ガーデンの入場料・閉園の噂と最新の訪問事情
旅行者の間で一時ささやかれた「モアナルア・ガーデン閉園の噂」ですが、現在も公園は開園しており、観光客の受け入れが行われています。一時的なメンテナンスや運営体制の刷新に伴う休園期間があったことから誤解が生じたものの、現地ではあの美しい緑地がしっかりと保全されています。
訪問にあたって知っておくべきポイントは入場料システムです。かつては入場無料のオープンな公園として親しまれていましたが、現在は公園の維持管理や樹木の保護を目的に、一般観光客は大人1人あたり10ドル前後(ハワイ在住者や子どもは割引・無料設定あり)の入場料が必要です。
日立製作所は公園の所有者とパートナーシップを結び、年間を通じた維持・管理支援を行っています。日立の樹の周囲は芝生が手入れされ、木の下に入ると強烈なハワイの陽射しが遮られ、心地よい木漏れ日と涼風を体感できます。現地へ足を運ぶ際は、レンタカーのほか、ワイキキ発のオプショナルツアーや市バス(TheBus)の利用が便利です。
【知られざる裏話】なぜ「モンキーポッド」と呼ばれるのか?名前の由来と驚きの生態
「モンキーポッド」というユニークな名前の由来には、いくつかの興味深い説が存在します。有力な説の一つは、樹木に実るサヤ状の果実(ポッド)をサルが好んで食べたことから「Monkey Pod(サルのサヤ)」と呼ばれるようになったというものです。
また、この木には別名があり、英語圏では「レインツリー(Rain Tree / 雨降りの木)」とも呼ばれています。これには植物学的な驚きの習性が関係しています。モンキーポッドの葉は羽状複葉と呼ばれる小さな葉が集まった形状をしていますが、雨が降りそうになると湿度を感知して葉を閉じ、夜間や日没時にも葉を閉じて眠る(就眠運動)性質を持っています。
葉が閉じることで、雨滴が樹冠を通り抜けて地面に直接落ちる様子や、開花期に木の下に立つと花蜜が雨のように降ることから「レインツリー」の名が付きました。年2回(春から夏、秋頃)には、先端が淡いピンク色に染まった絹糸のような繊細で美しい花を咲かせます。
【気になる木】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ホノルルのワイキキからモアナルア・ガーデンへのアクセス方法は?
A1:レンタカーやタクシー、配車アプリ(Uber/Lyft)を利用すればワイキキ中心部から約20〜30分で到着します。公共交通機関を利用する場合は、アラモアナセンターなどから市バス(TheBus)を利用して最寄りのバス停で下車し、徒歩数分でアクセス可能です。
Q2:日立はあの木を買い取って所有しているのですか?
A2:日立が木そのものや公園の土地を買い取って所有しているわけではありません。公園は現地法人が所有・管理しており、日立グループはCM撮影や商業利用に関する独占的権利および名称使用権のライセンス契約を結び、維持保全のための費用を拠出しています。
Q3:日本国内でもモンキーポッドを見ることはできますか?
A3:モンキーポッドは熱帯性の植物であるため、日本の本州で屋外越冬させるのは困難ですが、沖縄県などの亜熱帯地域や、全国の大規模な植物園(温室施設)などで鑑賞することができます。ただし、ハワイのような広大な傘型に育った巨木を見るには現地の気候とスペースが不可欠です。
まとめ:世代を超えて愛され続ける「日立の樹」の魅力とこれからの未来
ハワイの青空の下、力強く枝を広げる「気になる木」。それは単なる一企業の広告塔を超え、自然の生命力と未来への希望を伝えるタイムレスなシンボルとして日本人の心に刻まれています。
100年以上の風雨を耐え抜き、今なお成長を続けるモアナルア・ガーデンのモンキーポッドは、現地の人々の献身的な保全と日立グループの支援によって、次の世代へと受け継がれています。ハワイ・オアフ島を訪れる機会があれば、ぜひその木陰に立ち、悠久の時が育んだ雄大な鼓動を肌で感じてみてください。 (出典: 気 に なる 木(Yahoo!ニュース))