顔を隠す布の正式名称は?葬儀の白布からニカブ・UV対策まで徹底解説
ニュースや映画、街中、あるいは冠婚葬祭の場で目にする「顔を覆う布」。白装束の故人の顔にそっと掛けられる布から、中東の伝統的なベール、舞台裏を支える黒衣(くろご)の頭巾、過酷な日差しを遮るUVカットアイテムまで、その形状や使われる背景は驚くほど多岐にわたります。しかし、いざ「あれは何と呼ぶのか」と尋ねられると、正確な呼び名が出てこないケースも少なくありません。
布で顔を覆い隠す行為には、単なる物理的な遮断にとどまらず、宗教的な戒律、死生観、身分や正体の秘匿、そして実用的な皮膚の保護といった深い目的が存在します。文化圏や用途によって細かく分かれる布の名称と、隠すことの背後にある歴史的・心理的真相を余すところなく紐解いていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:葬儀で故人の顔にかける布の正式名称は「面布(めんぷ/おもてぬの)」であり、魔除けや死相の保護といった衛生・民俗学的な二重の役割を持つ。
- 要点2:中東の「ニカブ」「ブルカ」や伝統芸能の「黒衣頭巾」、忍者の手ぬぐい覆面など、顔を覆う布には文化的なアイデンティティや記号性が色濃く反映されている。
- 要点3:日常の実用シーンでは、息苦しさを解消した「ヤケーヌ」などのUVフェイスカバーや防寒・防塵の「バラクラバ」「シュマグ」が確固たる支持を確立している。
【正式名称一覧】用途で全く異なる「顔を隠す布」の名前と役割
日常会話では「顔を隠す布」「顔を覆う布」とひとくくりにされがちですが、使われる現場によって正式名称はまったく異なります。まずは、代表的なシチュエーションごとの呼び名と基本的な役割を整理しておきましょう。
葬儀の場で見かける白い布は、仏教や神道の葬祭用語で面布(めんぷ、または「おもてぬの」)と呼びます。亡くなった直後から納棺、出棺の直前まで故人の顔に掛けられる特別な一枚布です。
一方、イスラム文化圏の女性が着用する布は、顔をどこまで覆うかによって厳密に呼び分けられます。目元だけを出して鼻から下を隠す布はニカブ(Niqab)、目の部分すら網目状のメッシュ布で覆い全身を包み込む衣服はブルカ(Burqa)と呼ばれます。
日本の伝統芸能や歴史的文脈では、歌舞伎や文楽の舞台で黒装束をまとった演者が被る布を黒衣頭巾(くろごずきん)、忍者が任務時に用いた顔隠しは覆面手ぬぐい(三尺手ぬぐい)や面頬(めんぽう)と称されます。
さらに現代の実用分野に目を向けると、防寒・ミリタリー用途の「目出し帽」は英語圏由来のバラクラバ(Balaclava)、中東の砂塵除けストールはシュマグ(Shemagh)やクーフィーヤと呼ばれます。加えて、テニスや園芸、日常の紫外線対策として爆発的な支持を集める機能性マスクはUVカットフェイスカバー(商品名としては「ヤケーヌ」など)として定着しています。

死者の顔に布をかける意味と真相|葬儀の「面布」に込められた民俗学的理由
「なぜ故人の顔に白い布をかけるのか」という疑問は、葬儀に参列した多くの人が一度は抱くものです。この面布(読み方:めんぷ/おもてぬの)には、古来の信仰と現実的な遺体保全という2つの明確な理由が存在します。
民俗学・宗教学の視点において、死直後の状態は「あの世」と「この世」の境界に位置する不安定な時間とみなされてきました。霊魂が肉体を離れたばかりの遺体には悪霊や魔物が入り込みやすい(いわゆる「魔が差す」「憑依する」)と信じられていたため、魔除けの結界として白い布を顔に被せたのが儀礼的な起源です。白という色は古代日本において「死と再生」「清浄」を象徴し、霊を鎮めるための神聖な色でした。
しかし、葬祭ディレクターや歴史資料が示す現場の実態は、それ以上に極めて実務的です。近代以前、ドライアイスや保冷設備が存在しなかった時代、遺体の顔面は外気に触れることで急速に乾燥し、口や目が開いてしまったり、皮膚の色が変化したりといった死相の変貌が避けられませんでした。面布を被せることで外気と虫(ハエなど)を遮断し、保湿を保って変化を遅らせる効果があったのです。
また、遺族や参列者に対する心理的な配慮も決定的な要素でした。突然の別れに直面した家族が、変わりゆく顔立ちを直視して受ける精神的ショックを和らげるための「緩衝材」として機能していた側面があります。現在では保冷処置やエンバーミング技術が向上したため衛生面での切迫感は薄れましたが、故人への尊厳を守る日本人の死生観として、面布の儀礼は大切に継承されています。
徹底比較で丸わかり|宗教・伝統・実用における「顔を覆う布」のスペック表
一口に「顔を覆う布」といっても、その素材、覆う範囲、価格帯、着用目目的は分野ごとに大きく異なります。主な6分類を客観的データに基づいて比較しました。
| 名称・分類 | 覆う範囲・構造 | 主な素材と価格帯の相場 | 編集部の見解・実用性評価 |
|---|---|---|---|
| 面布(めんぷ) (葬祭・儀礼) | 顔全体を正方形の一枚布で覆う(約30〜40cm四方) | 白木綿、白絹 (葬儀プラン内に包括/単体は数百円〜) | 宗教儀礼と死相保護を兼ねた伝統具。出棺直前の「最後のお別れ」で外される。 |
| ニカブ / ブルカ (イスラム服飾) | ニカブ:目以外を覆う ブルカ:目部分もメッシュで全身を覆う | ポリエステル、シフォンなど (2,000円〜8,000円前後) | 信仰と貞節の表現。地域や宗派による厳格さの違いが顕著に表れる服飾文化。 |
| 黒衣頭巾 (伝統芸能) | 頭部全体から顔面を薄い黒布(紗)で覆い隠す | 黒木綿、麻、薄手の紗 (3,000円〜10,000円) | 「黒は舞台上に存在しないものとみなす」という観客との暗黙のルールを具現化した布。 |
| バラクラバ (防寒・スポーツ) | 頭部から首まで筒状に覆い、目や顔面のみ露出 | フリース、メリノウール、化繊 (1,500円〜6,000円) | 冬山登山やスキー、バイク乗りの必需品。近年は冬の街着ファッションとしても定着。 |
| シュマグ (中東・ミリタリー) | 大判正方形スカーフを頭部や鼻・口元に巻き付ける | 厚手コットン100% (1,200円〜3,500円) | 過酷な砂漠戦で特殊部隊も採用。防砂・日除け・防寒・包帯代わりと多目的に機能。 |
| ヤケーヌ(フェイスカバー) (UV対策) | 目の下からデコルテまでを覆い、鼻・口元に開口部 | 遮熱・吸汗速乾機能糸(チタン配合等) (1,800円〜3,000円) | 紫外線遮蔽率98%以上を誇りながら、着けたまま水分補給できる二段構造で実用性抜群。 |
| ※価格帯および製品仕様は主要メーカー公表値および実売市場データに基づく平均値です。 | |||

【実態検証】ニカブとブルカの違いや忍者の覆面・黒衣頭巾の真実
ネット上のQ&AサイトやSNSで頻繁に混乱を招いているのが、「イスラムのベールの区別」と「日本の伝統的な覆面に対する先入観」です。現場の事実を検証すると、意外な真実が浮かび上がってきます。
ニカブとブルカの決定的な違い
イスラム圏の女性の覆布は混同されやすいですが、露出度によって明確なグラデーションがあります。最も普及している「ヒジャブ」は頭髪と首を隠し、顔全体は露出します。これに対し、ニカブは目のスリットだけを残して鼻や口を隠す布です。サウジアラビアをはじめとするアラビア半島で多く見られます。
一方、アフガニスタンなどで伝統的に見られるブルカは、頭頂部から足元まで全身を一続きの布で覆い、目元すら格子のメッシュ越しに見る構造になっています。外側からは完全に素顔が遮断されるため、厳格な戒律に基づく地域で用いられています。欧米諸国では公共安全や身元確認の観点からニカブやブルカの公共空間での着用禁止法が制定されるなど、文化摩擦の焦点ともなっています。
忍者の覆面は「黒」ではなかった?
時代劇やアニメの影響で「頭からすっぽり黒布を被り、目だけを出した忍者」がおなじみですが、忍術伝書(『萬川集海』など)を紐解くと、現実の忍者は目立つ真っ黒の布をほとんど使いませんでした。闇夜では黒はかえって輪郭が浮き彫りになるため、実際には濃紺や柿渋色(茶褐色)に染められた三尺手ぬぐいを状況に応じて顔に巻いていたと記録されています。
この手ぬぐいは単なる顔隠しではなく、高い塀を登る際のロープ代わり、夜間の防寒具、負傷時の包帯、水漉し(みずこし)フィルターなど、サバイバルツールとしての多目的実用布でした。
黒衣(くろご)が顔を覆う心理的メカニズム
歌舞伎や人形浄瑠璃の黒衣が被る頭巾は、薄手の黒い紗(しゃ)が顔の前に垂れ下がっています。演者の顔はうっすら透けて見えているにもかかわらず、観客の脳内では「見えない存在」として処理されます。
これは心理学や記号論において「暗黙の協約(コンベンション)」と呼ばれる現象です。顔のパーツという人間味の最も強い情報を一枚の黒布で覆うことで、鑑賞者は意識の焦点を主役の役者や人形だけに集中させることができます。布一枚が「舞台上の透明人間」を生み出す文化的装置として機能しているのです。
日常で大活躍のフェイスカバー最前線|ヤケーヌの評判とシュマグ・バラクラバの選び方
歴史や宗教の世界から一転、日常生活においても「顔を覆う布」は猛烈な進化を遂げています。特に屋外活動時の紫外線予防や過酷な気候への対抗策として、実用布の需要はかつてない高まりを見せています。
ヤケーヌの口コミ評判と支持される理由
日焼け対策として爆発的な支持を集め、もはや代名詞となったフェイスカバーが「ヤケーヌ」です。一般的な布マスクやスカーフを顔に巻くと、自身の呼気で熱がこもり、息苦しさやメガネの曇りに悩まされるのが常でした。
ヤケーヌが圧倒的に評価されている理由は、上下2枚に分かれた特許構造の開口部にあります。鼻と口の間に抜けるようなスリットが設けられており、激しい呼吸でも布が口元に張り付きません。着用したままストローやペットボトルで水分補給ができる利便性は、炎天下でプレーするテニス愛好家やゴルフプレイヤー、毎日の自転車送迎を行う保護者層から「一度使うと他のマスクには戻れない」と絶賛されています。生地に酸化チタンなどが練り込まれており、洗濯を繰り返してもUVカット率(98%以上)が落ちない耐久性も実利派に選ばれる決定打です。
バラクラバと目出し帽の違い・防寒選びのポイント
冬のアウトドアやウインタースポーツ、ツーリングで欠かせないのがバラクラバです。日本語では「目出し帽」と直訳されますが、ミリタリーや登山用品としてのバラクラバは、頭頂部から首元まで人間工学に基づいた立体裁断が施されています。目元だけを露出させるスタイルはもちろん、状況に応じて顎下まで引き下げてネックウォーマーとして使える可変性が特徴です。
選ぶ際は、汗冷えを防ぐメリノウール素材か、速乾性と防風性に優れたハイテク化繊(ポーラテック等)かを基準にすると失敗しません。
シュマグ(アフガンストール)の実戦的巻き方
サバイバルゲームやミリタリーファッション、ソロキャンプの場で定番となったシュマグ(アフガンストール)は、約110cm四方の正方形コットン布です。砂漠地帯で直射日光と砂塵を防ぐために編み出された巻き方は極めて合理的です。
- 正方形の布を対角線で折り、三角形を作る。
- 折り目を額に当て、左右の端を後頭部側へ持っていく。
- 片方の端を顎の下を通して反対側の耳の横へ引き上げ、もう片方の端と後頭部または側頭部で結び合わせる。
鼻と口をしっかり覆いながらも、適度な通気性があり首回りの日焼け・防虫にも役立つため、無骨で実用的なギアとしてアウトドア層に根強いファンを持ちます。

【プロの結論】顔を隠す行為の心理学と「使うべき人・避けるべき状況」の判断基準
人間にとって「顔」は、個人のアイデンティティを証明し、表情によって感情を伝達する最大の情報発信源です。その顔をあえて布で覆い隠す行為には、外部との接触を遮断し、自身の精神的領域を守る「心理的バウンダリー(境界線)」の形成という意味合いが潜んでいます。
布一枚を隔てるだけで、他者の視線から自己を切り離せる安心感が得られる一方で、顔が見えない状態は周囲に「真意が読み取れない」という不安や警戒心を与える両刃の剣でもあります。実生活で顔を覆うアイテムを活用する際は、その利便性と社会的摩擦のリスクを正しく見極める必要があります。
【向いている人・おすすめできる状況】
- 屋外での長時間活動を行う人:テニス、ゴルフ、ランニング、農作業、長距離ドライブなど。紫外線による皮膚ダメージや熱中症リスクを最小限に抑えたい場合、ヤケーヌ等の高機能フェイスカバーは費用対効果が極めて高い選択肢です。
- 極限環境(風雪・砂塵)に身を置く人:厳冬期の登山、スキー、バイク走行、砂埃の舞うキャンプ地では、バラクラバやシュマグの物理的な保護性能が安全確保に直結します。
【おすすめできない人・慎重になるべき状況】
- 公共機関・金融機関・商業施設への立ち入り:防犯上の観点から、目元以外を完全に隠した状態(バラクラバや目深なフェイスカバー)での入店は強い警戒を招き、トラブルの原因になります。入館時は顎下まで下げる配慮が必要です。
- 対面での初対面交渉や信頼構築が求められる場:表情の微細な変化が見えないコミュニケーションは、相手に心理的圧迫感や不信感を与えます。日常のビジネスや接客、公的な対話の場面では、通常の衛生マスクにとどめるのが賢明です。
【顔 を 隠す 布】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:葬儀で顔にかける白い布「面布」はいつ外すのですか?
A1:通夜や葬儀の間はずっと掛けられたままで、一般的には出棺直前に行われる「最後のお別れ(別れ花を入れる儀式)」の際に、葬祭ディレクターや喪主の手によって外されます。故人の生前の面影を心に刻むための最後の瞬間に素顔と対面する段取りとなっています。
Q2:イスラムのヒジャブ、ニカブ、ブルカの違いを一目で覚える方法は?
A2:「顔が完全に見えているのがヒジャブ」「目元だけ見えているのがニカブ」「目の部分も網目で全身覆うのがブルカ」と覚えるのが最も明快です。頭髪だけを覆うか、口元まで覆うか、視界すら布越しにするかという隠蔽度合いの段階で区別されます。
Q3:日焼け対策のフェイスカバー(ヤケーヌ等)を着けて歩くのは不審に見えませんか?
A3:春夏のスポーツシーンや散歩、自転車運転時においては一般的な光景として広く受容されています。ただし、屋内商業施設や銀行のATM周辺などでは防犯カメラによる個人の識別を阻害するため、入館と同時に首元へ下げるのが大人のマナーとして定着しています。
Q4:バラクラバ(目出し帽)は日常生活の防寒具として使っても職務質問されませんか?
A4:真冬の極寒地や自転車通勤時であれば防寒着として理解されますが、夜間の市街地や住宅街で目元だけを出して歩いていると、防犯パトロール等で声をかけられる可能性は否定できません。市街地では顔全体を出すネックウォーマースタイルにして着用するのが無難です。
まとめ:文化・信仰から日常の実用まで広がる「顔を隠す布」の奥深さ
「顔を隠す布」という素朴な疑問の先には、故人の尊厳と別れの悲しみを包み込む「面布」、神への敬虔さと社会規範を体現する「ニカブやブルカ」、舞台上の記号として機能する「黒衣頭巾」、そして過酷な環境から皮膚を守り抜く「ヤケーヌ」や「バラクラバ」まで、人類が紡いできた知恵と文化が凝縮されています。
布で顔を覆う理由は、畏れ、信仰、機能、自衛と千差万別です。それぞれの正式名称と歴史的背景を知ることで、ニュースの国際情勢から身近なアウトドアの便利グッズまで、日々の景色がこれまでとは少し違った解像度で見えてくるはずです。 (出典: 顔 を 隠す 布(Yahoo!ニュース))